以前、子育ての目安にできる!と記事にしたエリクソンの発達課題。
全部で8段階あるうちの、子育てに関係してくる第5段階までをまとめてご紹介していましたが、残りの3段階も気になりませんか?
今回は私たち大人に関係してくる6段階目~8段階目のエリクソンの発達課題を記事にしてみました。
子育ての目安になる発達課題の記事を復習したい方はこちら↓
子育てに不安を感じてる人必見!発達段階の目安になるエリクソンの発達課題
段階別 エリクソンの発達課題のおさらい
前回の子育てに不安を感じてる人必見!発達段階の目安になるエリクソンの発達課題でもご紹介した発達課題の段階表をおさらいしてみましょう。
段階 | 時期 | 導かれる要素 | 心理的課題 |
---|---|---|---|
第1段階 | 乳児期(0歳~1歳半) | 希望 | 基本的信頼 vs. 不信 |
第2段階 | 幼児前期(1歳半~3歳) | 意思 | 自律性 vs. 恥、疑惑 |
第3段階 | 幼児後期(3歳~6歳) | 目的 | 積極性 vs. 罪悪感 |
第4段階 | 児童期(6歳~13歳) | 有能感 | 勤勉性 vs. 劣等感 |
第5段階 | 青年期(13歳~22歳) | 忠誠心 | 同一性 vs. 同一性の拡散 |
第6段階 | 初期成年期(22歳~40歳) | 愛 | 親密性 vs. 孤独 |
第7段階 | 成年期(40歳~65歳) | 世話 | 生殖・世代性 vs. 自己没頭 |
第8段階 | 成熟期(65歳~) | 賢さ | 自己統合 vs. 絶望 |
上記のようにエリクソンの発達課題には段階ごとに課題があり、克服することで導かれる要素というものが設定されていました。
では前回の続きである第6段階から詳しく見ていきましょう。
発達課題の第6段階 初期成年期(22歳~40歳)
発達課題の第6段階は22歳~40歳頃までの初期成年期を一括りとしています。
初期成年期に導かれる要素は「愛」です。
学生というステージから、ひとりの社会人としてまったく別のステージに飛び込んでいくこの時期。
青年期に確立したアイデンティティを基本としながら、他者との「親密性」を身につけていくことがこの時期の課題となります。
初期成年期の前段階である青年期に、アイデンティティの確立をスムーズにできていればいるほど自分に自信を持つことができ、親密性の確立もスムーズにできる、と考えられています。
なぜなら、オリジナルの自分を確立できていなければ、自分と違う価値観を持った人間と堂々と意見を交わすことが難しいからです。
そして、自身のアイデンティティと他者のアイデンティティを尊重しながら融合させる親密性というポジティブな課題と対をなすネガティブな課題が「孤独(孤独感)」です。
社会人になるとさまざまな出会いを経験しますよね。
新しい出会いの中で、意見が対立したり、嫌われたり、または好きになったり。
他人のさまざまな感情にさらされる中で「なにかを失うのではないか?」「本当に自分をさらけ出して大丈夫なのか?」「自分は受け入れてもらえないのではないか?」などの負の感情を乗り越えられるかどうかがこの初期成年期の大きな鍵になります。
相手に自分をありのままさらけ出すということは相手への信頼はもとより、自分への信頼と自信も必要です。
信頼・協力など、相手と対等な関係を築くことができれば親密性は高まり、失敗すれば孤独感を味わう。
この拮抗を繰り返し乗り越えることで、ありのままの自分を愛してくれる大切な人と出会い、真の愛や幸福感を手に入れることになるのです。
この初期成年期に孤独感が優位に立ってしまったり、青年期のアイデンティティの確立がうまくいっていなかった場合は、対等な人間関係というものが築きにくくなる傾向にあります。
自分の意見を押し通そうとしてしまう、相手を支配してしまう、過度に相手の言いなりになってしまう。
これらはすべて、さらに孤独感を生み出す負のスパイラルとなってしまいます。
負のスパイラルに陥りそうな時は、一呼吸置いて自分と相手のどちらも尊重できるように少し考えてみましょう。
自分を認め、相手を認め尊重しあうことがこの段階の獲得目標である「愛」への近道となります。
発達課題の第7段階 成年期(40歳~65歳)
発達課題の第7段階は40歳~65歳頃までの成年期を一括りとしています。
成年期に導かれる要素は「世話」です。
この時期はすでに結婚をしていて子どもが生まれ、自分以外に大切な守るべきもの・育てていくべきものが増えていく時期。
結婚していない・子どもがいない人でも、仕事などで部下の指導を通じて守る・育てるといった「生殖性・世代性」が課題となってきます。
若い世代を育てていくという、今までとはまた違うステージに立つこの時期に必要なポジティブな課題が「生殖性・世代性」。
そして「生殖性・世代性」と対を成すネガティブな課題が「自己没頭」です。
自分が今まで得てきた知識や体験などを次の世代へ惜しみなく伝えていけるか、次世代と積極的に関わっていけるかがこの段階の鍵となります。
今まで蓄積してきた知識を次世代に教えることで、自分自身の知識もより深まりとてもよい循環が生まれます。
新しいもの、新しい風に触れることで自己の活性化につながったりもします。
ここで次世代や他人と関わりを持たず、自分自身にしか興味がない状態に陥ると、それは「自己没頭」という停滞を生み出します。
俗に言う「頑固な中年」などがこういった停滞に陥った状態だと言われています。
新しいものは受け入れず、次世代の新しい風と交わろうともしない状態ではさらなる自身の成長は望めません。
自分本位ではなく子どものため、部下のため、次世代の若者たちのために行動することを心がけ、惜しみなく知識を与えることがこの段階の獲得目標である「世話」につながります。
この時期に 「生殖性・世代性」 を持つには、確固たるアイデンティティのもと自分を磨いたり、能力を高める為の努力をおこなっている必要があります。
それがなければ「次世代」に託すものがないので、社会的にも 「停滞」 してしまう可能性があるのです。
発達課題の第8段階 成熟期(65歳~)
発達課題の第8段階は65歳~の成熟期を一括りとしています。
成熟期に導かれる要素は「賢さ・知恵」です。
この時期は子どもも自分の手を離れて独り立ちし、仕事も退職するなど今まで培ってきたものすべてからの方向転換を迫られる時期。
今までよりも自分の時間が増え、さまざまなことを考えられる時期でもあります。
これまで歩んできた人生、いいことも悪いこともあったはず。大失敗だったこともあったかもしれません。
そのすべての経験を受け入れ、統合させていくことがこの段階での課題となります。
今まで経験した悪いこともいいこともすべて今の自分を形成する上でいい経験だった、と「自己統合」に成功すれば自分の人生に納得し満足感を得ることができるので、穏やかな老後を送ることができるでしょう。
しかし自己統合がうまくいかない場合は、自分の人生に納得できず後悔しながらネガティブな要素である「絶望」を感じることとなります。
また、この「自己統合」というポジティブと「絶望」というネガティブは、いずれ迎える「死」というものに対しての捉え方ともかかわってきます。
今までの人生に納得・満足している人は、「死」というものにも恐怖を感じにくく穏やかな老後を送りやすい傾向にあります。
反対に、今までの人生に後悔し絶望を感じている人は、「死」というものに恐怖を感じやすく葛藤しやすい傾向にあるようです。
後悔などをせず心穏やかな老後を迎えるためにも、これまでの自分自身をきちんと受け入れ、いい人生だったな、と自己統合できるような毎日を送りたいですね。
大人になってからのエリクソンの発達課題 まとめ
これらの段階に当てはめられている年齢は、あくまでも平均だと思っています。
実際私も、今冷静に振り返るととても長い期間青年期だったように思います。
子どもの成長も自分の成長も、気づいたその時からいくらでも修正がきくのがエリクソンの発達課題のよいところです。
もし今の段階でネガティブ要素が大きいかな?と感じたら、少し戻ってやり直せばいい。
最後の時を穏やかに迎えられるように、このエリクソンの発達課題を心の片隅に置きつつ毎日過ごしていければいいな、とゆいくりは思いました。
最後まで読んでくださったあなたは人生の最後をどんな気持ちで迎えたいですか?
この記事が少しでも自分自身を見つめなおすきっかけになれば幸いです。
エリクソンの発達課題に興味を持った方は、子どもの発達課題に関しての記事子育てに不安を感じてる人必見!発達段階の目安になるエリクソンの発達課題もぜひ読んでみてくださいね。